2010年チュニジア・フランス旅行記(1)



ようやく諸々の整理が終わりつつあるので、旅行記を記すことにする。

さて、今年というか2010年の暮れは実は休みだけ取って自宅でゴロゴロ&フィットネスクラブ通いで過ごすつもりでいた。さすがに体力的にも資金的にも毎年海外というのはきついし、たまには楽隠居な年末もいいと考えていたからだ。

ところが、ANA Milage Clubのマイレージ有効期限を確認してみたところ、約10万マイル貯まっていたうち、その半分程度が2010年で消滅してしまうらしい。
※話はそれるがFFPについて説明しておくと、ユナイテッド航空とかのFFPだと乗る度に有効期限が延長されるので実質的に有効期限は存在しないに等しいのだが、ANAのFFPはそのあたり非常にケチでマイル獲得後3年で有無を言わさず権利が消滅する。また、JALのように家族単位でのマイルの合算使用ができるようになったのもごく最近の話であったりする。率直に言って、航空機を使っての国内出張が沢山あるとかSFC(Super Flyers Card、年会費1万円ちょっとを払うだけでスターアライアンスゴールド会員の権利が維持できる)狙いでマイル修行するとか陸マイラーを目指すのでもない限り、FFPとしてのANA Milage Clubは推奨しない。国際線エコノミーだとマイレージ積算率も異様に悪いし。

そんなわけで話を元に戻すと、それならとっととマイレージを消化した方がいいや、ということで以前から行ってみたいと思っていたチュニジアに行こうと決めた次第だった。ただ、行きたい都市をリストアップすると結構な期間が必要なので、またしても年末休暇を利用せざるを得なかった。欧州の冬は本当に日が短いので、本当はもう少しあたたたたたたたかい時期に旅行したいのだが……

一応その時点で溜め込んでいたマイレージは10万マイルほどあったので、ここは一気に蕩尽すべし、ということでビジネスクラスの予約を行うことにした。ファーストクラスも考えたのだが、欧州線だと12万マイルほど必要なので微妙に足りない。なお、マイレージ特典による国際線の切符の枠はAMC平会員だと異常に少なく(上級会員だと一気に枠が増える)、それこそ早め早めの電撃作戦で切符を押さえる必要がある。長い休暇を取るためには事前で社内で根回しというか休暇宣言を行う必要もあるので、実際に旅行の切符を押さえたのは2010年の2月の半ばであった。実に出発の10ヶ月前である。勿論切符はタダだったが、燃料サーチャージやら空港税やら国際連帯税やらで4万5千円ほど費用がかかった。というわけなのでマイルをためて国際線の切符にしようと目論んでいる人は気をつけましょう。

今回の旅は、本来ならば以下のようなスケジュールで展開される予定であった。
【1】チュニジア編
12/16〜12/20 フランクフルト経由でチュニス
12/20〜12/22 スース
12/22〜12/23 トズール
12/23〜12/24 ドゥーズ
12/24〜12/26 トズール
【2】南仏編
12/26〜1/1 ロキュブリュヌ・カップ・マルタン
1/1〜1/2 ニースのエアポートホテル
1/2〜1/3 フランクフルト経由で帰国

ちなみにそれぞれがどんな都市なのかとかそういう説明は面倒くさいので省く。知りたい人は各々でWikipediaあたりで調べて欲しい。



12/16、成田に着いたのは午前9時半頃。一応会社にメールのエイリアス等が正しく機能しているかどうか確認し、ラウンジにて休むことにする。


海外旅行に行くときは、機内で爆睡する必要があるので大体前の晩は完徹することにしている。で、朝食は移動のバスで吐かないようにほとんど食べてこないので、こういうときにラウンジが使えるのは大変有り難い。勿論ネットの使用もタダだし。


でも成田のANAラウンジは地上階にあるため、外が全く見えない。ファーストクラスのラウンジを地上3階に作っているためなのだが、なんか某サイベリア(古)のサロンにいるような錯覚を覚える。眠くなるし。同然のことながら寝落ちしたら誰も助けてくれません。


一部で有名なANAうどん。以前ははんぺんにANAのロゴが入っていたのだが、コストダウンでタダのはんぺんになってしまったようだ。つまらん。こういうことやるからLCCに堕したとか陰口叩かれるんだよ……


行きはANAの777-300ER "Inspiration of Japan"なる座席に乗ってみることにした(帰りはルフトハンザのA380)。去年の春先に鳴り物入りで導入した割にはメニューシステムのトラブルがあったりしたいわく付きのビジネスクラスシートだが、とりあえずはフルフラットになるので大変過ごしやすい。


前方座席を予約したので、ファーストクラスとの境のカーテンが見える。
降機時にちょいと覗いたが、でかくて確かに休みやすそうだなあ……
自腹で乗ることは絶対にないだろうけど。

  


外の景色はこんな感じ。
さて、小生が日系航空会社の国際線に乗るのは実質的にほぼ初めてだった。乗った知人に言わせれば日系航空会社は飯がうまくてサービスがいいとのことだったが、確かに着席してダラダラし始めた途端にCAが挨拶に来たりとそのサービスはしつこいくらいのレベルにある。食事もそれなりにおいしかったと思う。ルフトハンザだとたとえビジネスクラスであってもCAが挨拶なんかには絶対に来ないし、食事も「ルフト飯」と言われるくらいひどいのだが、そのあたりはさすがに通常料金で買うと倍ぐらいの価格差があるだけのことはある(ルフトハンザのビジネスクラスは早期購入割引を利用すれば小生でも何とか手が届く水準にあるが、ANAはビジ割を利用しても全然手が届かない)。


さて、フランクフルトに着いたわけだが、窓から外を見ると雪景色。機長アナウンスでは吹雪だとか何とか言っている。国際線だからまあ大丈夫だろうとこのときはタカをくくっていたのだが、事態はそんなに甘くなかったのだった。

 
通常のダイヤでは午後4時半にフランクフルトに着いたあと、約6時間のトランジットがあって11時頃の便で出発、1時頃チュニス着の予定となる(一応チュニス・カルタゴ国際空港は24時間運用なのである)。さすがに暇すぎるので、ラウンジにて仮眠を取って暇を潰すことにした。


9時過ぎに、さてゲートに向けて移動すべしということで案内板を見たところ、「Annuliert」の文字。一瞬何が何だか理解できなかったが、空港スタッフに訊いたらやはり吹雪でキャンセルとのこと。振り替え便を翌日のチュニスエアーの昼便にして貰い、あてがわれたホテルに移動した。これがそもそもの悲劇の始まりだった。


あてがわれたホテルは空港から30分くらいかかるKempinskiなる五つ星ホテル。余りにも豪華なのでビックリしたが、肝心のスーツケースは預けっぱなしにしてあったので、バスローブを寝間着代わりにして寝た。チュニスのホテルには理由を説明し、予約をキャンセルしないように依頼し、「安心しろ」との確約を得たのでとりあえず就寝。
翌日、起きてみたらホテルの周りは完全な雪景色。2009年にベルリンに行ったときも寒波がひどくてかなり参ったが、今回の寒波はそれを上回っていそうだと正直びびった。

 
何とかタクシーを呼んで空港に戻った。看板が示すとおり、国際線も半数がキャンセル。実は直前になってキャンセルになるケースは更に多く、実質的にこの日は8割くらいの便がキャンセルになっていたらしい。


当然の如く空港のロビーは大混乱になっており、国内線のチェックインカウンターは荷物預け入れと分配を人力主体でやっていたらしく、それぞれの列が300メートル以上に伸びており、何が何だか分からない状態。
当然私も荷物やらチケットの件がどうなっているのか全く分からないのでチュニスエアーのカウンターで担当者を呼んだのだが、いつまで経っても担当者が来ない。埒があかないのでクウェート航空の担当者に相談して情報をもらう。また、疫学調査でチュニジアに行くというフランス人(ケベック在住)と偶然知り合い、行動を共にした方がいいとの結論に達したため、つるんで行動することにした。大混乱の極みにあり、情報が不足しているこのような状態では、単独での判断はミスを生みやすいからだ。

で、彼女と行動していると、バカンスに行くというフランス人の夫婦(旦那がチュニジア人)と更に合流することになり、合計4人で時間を潰すことにした。こういうときに時間を潰す話し相手がいるというのは有り難い。

ところが、12時過ぎに出発するはずのチュニスエアー745便はフランクフルト側の混乱のため、午後8時頃の出発になるとのアナウンスが流れる。チュニスエアーの同便はモノクラス運航のため、ラウンジにて休むこともできない。お詫びということでチュニスエアーからは1人13ユーロのミールクーポンが配布されたのだが、これも配布に関するアナウンスが適切に行われていなかったため(カウンターに状況を確認しにいった人だけ配っていた)、クーポンを貰い損ねた人たちが激怒して騒然となった。結果全員に配布して事なきを得たみたいだが、私は件のフランス人が知らせてくれたお陰で事前にクーポンをもらうことができた。


午後、どうしようもないので空港内のレストランにて4人で時間を潰す。こういう時にカフェで時間を潰す技術を持っているフランス人は強い。コーヒー一杯で4時間以上粘るその体力には、正直感動すら覚えた。そうこうしているうち、更にもう1人、ハンブルクから来ているドイツ人の婦人とも合流し、合計5人にて時間を潰す。彼女はドイツ人なので、空港の係官と頻繁に話をして情報をアップデートしてくれた。あとで分かったのだが、この女性、フスハー(正則アラビア語)とかフランス語とか英語もペラペラというとんでもない傑物で、世の中ひろいなあと己の無学さを痛感した。

そうこうしているうちに結局飛行機は午後7時過ぎに離陸し、無事チュニジアへと12/17にはたどり着けることになった。ところがイミグレの連中の仕事がとてつもなく遅く、成田のイミグレの3倍以上時間がかかった。たかだか30人程度を捌くのになんで1時間近く待たせますかアンタ?

イミグレを通り過ぎ、スーツケース回収エリアにようやくたどり着いたのは11時過ぎ。この時点でほとんど体力がボロボロで記憶も曖昧なのだが、

スーツケースが出てこない。

実質的に初めてのロストバケージを喰らったわけだ。このときは体力というか判断力も限界だったし、まあ翌日の便で回収はできるだろうと甘く見ていたので、とりあえず連絡書類だけ貰い、両替所で当座の資金を両替し、ホテルに這々の体でたどり着いた。この時点で0時を回っていた。

そんなわけで、私のチュニジア旅行はほぼ最悪のスタートを切った。



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