第一の目標地点であるバスティーユ広場に6時頃に到達すると、雨がやや本降りになってきた。私が掛けていたプラカードはビニールカバーをあらかじめ貼っておいたのでインク溶出(プリンタはインクジェットだからね)などのトラブルもなかった。
地下鉄の駅に向かってみると、「閉鎖されてるよ〜!」などの声が聞こえてくる。ここで切り上げて帰るつもりだった人も結構いるらしい。実際バスティーユ駅の入り口は全て頑丈そうな柵で封鎖されており、同駅で乗り換える人以外は一切使えないようになっていた。でも有料有人トイレは開いていたので、とりあえずここで一旦用を足す。30ユーロサンチーム(約40円)。カフェには一旦休憩をとる人が沢山たむろしていた。足休めにカフェを利用するあたりが何とも微笑ましい。
なお、バスティーユ広場からナシオン広場に向かうルートはここで大きく二手に分かれる。一つはリヨン通りからドメスニル通りに入り、ディドロ大通りを経由してナシオン広場へ到るもの。もう一つはバスティーユ広場から直接フォーブール・デュ・サンアントワーヌ通りを経てナシオンに広場へ向かうもの。後者の方が500mほど距離は短いが、今回のデモの「正規」ルートとされたのは前者。だが、例によって例の如くリヨン通りはとても人の入れる状況ではない位人であふれている。軟弱者の私はこれでゲンナリ来てしまったので、サンアントワーヌ通りを通ることにした。右の写真の段階では結構人もまばらで、安心して酸素が吸えた。雨で空気中の埃も少しは押し流されたようで、一息つく。
で、深呼吸してくつろいでいると、右の方からシュプレヒコールのこだまが聞こえてくる。労組なんかのデモ隊の通行路は2本隣の道であり、そこまで激しくは聞こえてこないはずなので、どうも隣のシャラントン通りにも人がわんさと繰り出して何かにつけてはシュプレヒコールをあげているらしい。何とも凄まじい人出であることよ。
それでもデモ隊はこちらでもシュプレヒコールをあげている。どうもこちらのデモ隊でシュプレヒコールの音頭をとっているのは高校生、あるいは大学生らしく、ビートのテンポがやたら速い。どんどんアッチェランドしていってしまいにゃ16ビート(BPM≒250?)での「FNをぶっ倒せ」コールをやる始末。そこにさらになんと裏拍の合いの手が入るのである。リズム感覚がお世辞にもいいとは言えない私は大混乱になりかけて目を回した。アフリカ系の高校生とおぼしき参加者なんかそれにあわせてジャンプしながら手を叩いている。なんだよそれ。
……ええ、私は八木節で結構です……ついてけません……
で、そのグループを前から写してみた。奥に写っている黄色い店はケバブサンドイッチなどを売るトルコ系のファストフード屋で、腹が減った参加者はそういったところでめいめい勝手に休憩をとっている。特にこちらの通りは労組が出店を出していないため、そういったカフェや軽食スタンドの存在は実に有り難い。
余談だが、パリに旅行して(メニューが読めないなどの事情で)食い物に困っても、マクドナルドなんかには行くべきではない。何せ高いし、量も少ない。同じファストフードの
Quickなんかは日本では展開していないので話のネタにはいいかもしれないが、私が強くお勧めするのはトルコ系のこうしたサンドイッチ屋である。平均4ユーロ程度で相当な量のサンドイッチ+ポテトフライが食える。これに500mlのミネラルウォーターを飲めばお腹一杯。素晴らしい。
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