ショスタコーヴィチ:交響曲第5番(ムラヴィンスキー盤)をディスクユニオンで見つけて落手して聴いた。
弦楽セクションの緊張感が極めて無茶苦茶に高いのがこの録音を名盤ならしめているのは以前から仄聞していたのだが、実際聴いてみると壮絶以外の何物でもない。中間の緩徐楽章もとりあえず緩いのはテンポだけで縦の線は死守して音量指示は数値化できるほど守っているという強烈さ。そして第4楽章のギチギチぶりは全然勝利の凱歌じゃないよこんなのむしろノルマ250%達成目指して昼夜の別なく働き続けるムキムキ労働者という気分にさせられる。他の指揮者の演奏に比べると相当速いテンポだし、そのテンポ自体も各所で相当に揺らしている(特にフィナーレは崩壊寸前までルバートしている)のだが、それでも一糸乱れぬ統率できっちりアンサンブルを縛り上げる第一ヴァイオリンはセル時代のクリーヴランドもかくありなんと思えるほど厳しい。
とにかく癒しとかヒーリングとかそういうたわけた思考は瞬時に粉砕されるような素晴らしい演奏。ハラショー。
でも録音としては咳やら何やらのノイズがちょっと気になったのでその辺りがちょっとペケ。