1/23、サントリーホールで行われた東フィルの定期演奏会に行ってきた。曲目はメシアンのトゥランガリーラ交響曲、指揮はチョン・ミュンフン、ピアノは横山幸雄、オンド・マルトノは原田節という、少なくともソリストレベルでは期待するなという方がおかしい素晴らしいメンツ。欲を言えばそりゃPfはアムランとかティボーデとかウゴルスキとかベロフがいいとか言えないでもないけれど、チョン・ミュンフンとバスティーユ管の名録音を知る人間にとっては、あるいは原田節がソリストを務めるシャイーとコンセルトヘボウ盤を知っていれば、この組み合わせは垂涎の的であろうと思う。
但しこの曲は長い。CDで聴いても1時間以上かかる代物だし、演奏会ではこれだけで90分は優にかかる。しかもメシアン独特の非逆行リズムが頻出するやら調性がヘンテコだったりするので、弾く側としては決して楽勝ではない。だからこそ生で聴いていい演奏会だとそれだけでシヤワセになれる官能大曲である。
で、23日の演奏会では、横山幸雄と原田節の名演が光った。メシアンのピアノ曲は超難曲で知られるものが多いが、とりあえずミスタッチらしいミスタッチはなく、第5・終楽章ではバリバリと弾いていていい感じだったように思う。原田節のオンド・マルトノも非常に手慣れた演奏で、特に第6楽章の「愛の眠りの園」ではウットリ感のある法悦溢れる音色をPfのコトドリの歌声と奏でていて美しいことこの上なかった。
ただ、問題はオケである。後半の楽章では弦の体力不足が露骨に目立ち、第8楽章以降のアンサンブルのガタガタさ具合はこれが果たしてプロの演奏なのかと疑うような崩壊寸前の危機も何カ所かあった。パーカス群もウッドブロックの奏者が何回か落ちたりするなど、集中力の低下が傍目にもはっきり分かる状態だった。金管隊が盛り上げ楽章では結構奮闘していたので終楽章のフィナーレではソツなく、しかも徹底的に長い嬰ヘの和音が官能大暴走でなかなかよかったが、全体としてはまとまりというか色彩を欠いたちょっとだらしのない演奏だった。そんなこともあって演奏後のカーテンコールではチョン氏もオケのメンバーを呼び戻すなどせず、各奏者を一人ずつ立たせるなどのこともせず、割とあっさりと終演でしたよ。確かにトゥランガリーラはプロオケでも手こずる超難曲というのは私でも知っているしスコア見たら卒倒しそうになるくらい複雑な曲だけど、そもそも東フィルだってプロなのだし、定期演奏会の割には決して安いチケットではなかっただけに、ちょっとガッカリ。
翌日のタケミツメモリアルホールでの演奏会はさすがに反省したのか、好意的な反応が多いようだ。会社から近いしサントリーホールでの演奏会だからという理由でこっちを選んだのはうまくなかったのだろうか。
ちなみに帰りにはロビーで売ってた原田節のアルバム『The garnet garden』を購入。前から探していたものだけに落手できて何より。