ハチャトゥリアンの芸術2 〔ヴァイオリン協奏曲/ピアノ協奏曲〕オイストラフ(vn)ペトロフ(p)ハチャトゥリアン/ロシア国立so. 他から、ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲について。
ハチャトゥリアンといえば『剣の舞』が余りにも有名すぎてその他は交響曲第2番が少々知られているだけだが、彼の猛烈パワー大爆発の名曲といえばこのヴァイオリン協奏曲を措いて他にない。最初から最後までアルメニア民謡などから題材を得たエネルギッシュな旋律がこれでもかこれでもかと続く。第1楽章のダンプカーの疾走の如き強烈なテンションの高さもさることながら、特に終楽章の「バラによせて」の変奏によるロンドやアルメニア民謡「Kele-Kele」をSulGで朗々と歌い上げるあたりは曲自体の圧倒的な野生風味と併せて、アドレナリン垂れ流しの脳味噌暴走気味の気分にさせてくれる。
もし20世紀に書かれた曲だからというような理由でこの曲を聴くのを敬遠するならば、それは大きな損失であると思う。かくまでに「凶暴」に限りなく近い熱狂と躍動感溢れるヴァイオリン協奏曲はこの曲くらいなので、とりあえず聴け!
で、要求される演奏技術も実は結構高い(特にカデンツァは無茶苦茶難しい)この曲を聴くのなら、まずオイストラフ盤が筆頭だろう。以前メロディアから出ていた録音ではショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番も収録されていて、オイストラフのマッシフで正確無比の鋼の如き演奏を堪能するにはうってつけの名盤だったのだが、今は廃盤らしい。中古屋で見かけたらこちらを買いましょう。