2010年01月
COWON iAudio9を買った  (2010.01.27)


今通っているフィットネスクラブではプログラムに有酸素運動をかなり組み込んでいて、最低でもエアロバイクを一時間、余裕のある時にはそれにトレッドミルを時速8.5キロで30分くらいこなしているのだが、漫然とこなしているだけでは余りに退屈なので音楽を聴きながらやっている。エアロバイクにはテレビもついているので、ニュースなどを見ながらこなすこともあるが。

というわけで今までは遙か昔に購入したオリンパスのm:robeなる内蔵メモリ1GBのものを使っていたのだが、さすがにバッテリがダメになってきており、2時間くらい連続して使うとバッテリー警告が出るようになってきたので、新しいDAPをだいぶ前から物色していた。条件としては以下の通り。
・Appleは「信者」が気持ち悪いし、市場において独占的地位を占めているので却下。そもそもiTunesのUIはどうも私にはなじめない。
・Ogg Vorbisでビットレート500kbpsまで対応していること。今後のことも考えるとFLACにも対応していた方がいい。
・首からぶら下げて使うので、本体重量は50g未満であること。
・本体メモリが8GB以上あること
これを満たすもので国内でまともに販売されているものといったら、COWONのフラッシュタイプのものしか見あたらないのが現状だ。iRiverもClix等はOgg Vorbisに対応しているのだが、上限ビットレートが320kbpsなので落選。今年か来年には容量10TB越えのNASを多分組むので、そろそろFLACに移行すべきか……

で、COWON iAudio 9の16GBタイプ(シルバー)をAmazon.co.jpにて入手(写真左側、右側はD2TV)。本体ケースも含めて約15.5K円。色々と金欠なところには痛い出費だが、仕方ない。

とりあえずm:robeから音楽ファイルを引っ越してきて、更に今まで容量の都合で断念していた曲を全部入れる。有酸素運動をしながら脳味噌を空っぽにするためなのでいくら何でもノーノとかカンチェリとかショスタコとかマーラーとかラッへンマンとかシュトックハウゼンは入れません。ライヒは入れてるけど。目下の空き容量はおよそ4.5GB。通勤時に使っているCOWON D2TV(総容量24GB)は片っ端から色々と放り込んでいて目下の残容量2GBていどに比べれば随分と健康的だ。

その後充電も完了したので一通り使ってみた。音質の癖とかは基本的に他のCOWONのDAPと変わるところがない。BBEの世代が一つ進化したので、よく聞けば音の輪郭がややはっきりしているかな、という程度。
UIは慣れていないせいもあるのだろうが、正直使いづらい。特にタッチパッドは機能の割り当てを把握していないと混乱すること必至だろう(その割にマニュアルがやたらわかりにくいのは最早iAudioの伝統だ)。また、音楽タイトルのスクロール方向が一方向に流れっぱなしになるのではなく、折り返しになるのはこのモデルでの変更点なので、今までiAudioの画面に慣れた人はおや、と思うかもしれない。
ただし、画面は2.0"QVGAではあるものの、明瞭感のはっきりした非常に視認性に優れたもので、動画も見やすい。画面フォントの入れ替えもできるので、早速某有名フォントを入れてみたところ、テキストの可読性が非常に良好になった。こういったカスタマイズ性はうれしい。

目下メインのCOWON D2TVに比べると大きく変わった点もかなりあるため、「兄さん」(HDDタイプのiAudio M3)からCOWONのDAPを使っているユーザーには戸惑うことも多々あるだろうが、性能面では非常に優れたDAPであると思う。電車の中でiPhone等をニヤニヤしながら使う人間に嘔吐を感じる人であれば、選択肢に加えてもいい機種の一つであると思う。


違和感を感じるということ  (2010.01.23)

ストラスブールからの写真は一拍置いてから公開しますので、2月くらいになるかと思います。某オンラインアルバムサービスが「週間新着」とか更新情報を載せている割には実際の更新頻度が2〜3週間隔という為体なのも理由の一つですが。

さて、パリで泊まった宿ではレセプショニストのルイ氏に随分世話になった。おいしいレストランを紹介してくれたり、書類の取り次ぎをしてくれたりと枚挙にいとまがない。当然それは仕事なのだから当たり前といえば当たり前なのだが、買ったものや荷物を送った宅急便業者(動物の名前を冠したこの会社のパリ支店は、競合が実質的に撤退したこともあってここ数年で対応が頗る悪くなった)からの控え状に同封する形で、ルイ氏からの手書きのメッセージが入っていた。

その手のメッセージは小さなホテルだと部屋へのウェルカムメッセージなどで結構貰うことが多いし、勿論お土産屋などを通りかかると片言の日本語で客引きをしてくる連中は少なくないのだが、ここでわざわざ取り上げたのは、ルイ氏が封筒に宛名を書く時、わざわざGoogleで漢字を調べて私の名字を「日本語で」、即ち漢字で書いてくれたことである。メッセージには彼が名字をGoogleで調べ、それを見よう見まねで書いたので多分間違いがあるだろうがそれは大目に見て欲しいこと等が綴られていた。

当然、驚きの声を上げつつ、彼の眼前でしっかりとそれを確認させて貰ったところ、小学生が難読字を懸命に書いた時のような稚拙さは当然あるものの、しっかりとそれは判読できるレベルであった。そんなことをわざわざしてくれるルイ氏のホテルマンシップに正直私は感嘆、いやむしろ正確に言えば感服せざるを得なかった。

なぜ感服したのか。それは彼のホスピタリティあふれる対応の質の高さに驚いたということもある。しかしもう一歩踏み込んで考えるならば、それは彼が異邦人を歓待することとはどういう事なのかを、言語化はされていないにしても某かの理解をしていることだということであり、そのことに私は驚きを隠すことができなかったのだ。

異なる文化、もっと普遍化すれば他者なるものに我々が出会うということは、とりもなおさずそれは違和感を感じる事に他ならない。それは時として我々自身の認識の基盤を力ずくで相対化する可能性を孕むため、他者を奇異なもの、非合理的なものとして排斥するエスノセントリスムと容易に結びつきやすい。それは均質的な集団に安住することの気楽さ、居心地の良さを与えてくれるからだ。
しかし、我々が他者に向けて開かれた精神というものを仮に育もうとするのであるのならば、違和感を抱くことに背を向けるのではなく、むしろそれが不可避のものとして喜びを見いだしていく感受性が必要なのではないのか。ルイ氏が私の名字をわざわざ書いてくれたことは客に対する通り一遍のおべんちゃらなのではなく、彼自身がそうした他なるものについて自らの認識の裡に、それがもたらす違和感をあえて感じようとする事への意思の表れではなかったか。連帯とは、形ばかりのぬくもりを求めての馴れ合いなのではなく、根本的に異なるもの同士があえて理念の下にお互いを人格的存在として承認しあう行為ではないのか。だからこそ、KYだのとくだらない身内意識に固執してばかりの態度がまかり通るこの国では、社会的連帯の萌芽すら見られないのだ。

仕事柄多くの言語の書類に目を通していると、かくも多くの言語があり、そしてその向こうにはそれを日々の暮らしの中で使っている人々がいるのだという当たり前の事実に胸を衝かれることが少なくない。特定の覇権言語に安住する人々はその違和感、難解さを退けてしまおうという衝動に駆られることにためらいを感じないらしいが、私はせめて彼らの考えがもたらす違和感を眺めやることでこの世界の広さを少しでも感じていることにしたいと思う。


とりあえずベルリンの写真  (2010.01.15)


ベルリンの写真の整理が終わりましたので、公開します。

http://www.myalbum.jp/pc2/album/Albm_Dspy.aspx?albumID=d95426e1f2a6
こちらで公開しています。お暇な時などにご覧いただければ幸いです。

【追記】ニュルンベルクのも整理が終わりました。
http://www.myalbum.jp/pc2/album/Albm_Dspy.aspx?albumID=86208a6c8199


水戸の「山翠」にて鮟鱇を食す  (2010.01.14)


1/11は友人の川越薬局氏と水戸の「山翠」(http://www7.ocn.ne.jp/~sansui/)に鮟鱇鍋を食いに行った。予約なしで行ったので少々待たされたが、昼ということもあり比較的すんなり入れた。

鍋は典型的なもので、取り立てて説明するほどもないが、秘伝の焼き味噌とやらが非常にいい味を出している。ボリュームは少々物足りないかな。自分たちで材料を調達すれば多分この店の3倍くらいは食えるのだろうが、人件費と場所代を考えれば仕方あるまい。また、鮟肝も併せて注文した。こちらは新鮮で臭みと脂っこさのない上品な味わいが印象的だったが、3切れで1260円というのは少々高すぎるようにも思う。酒があるなら話は別だが、車で行ったのでそれは無理。

具を一通り食べ終わり、おじやを頼む。給仕のひとが大体作ってくれるのだが、出汁と味噌と卵の組み合わせが絶品で、実にうまかった。これだけでももう一杯くらい頼みたくなるほどだ。

ソフトドリンクなども一杯頼み、一人あたり4千円強。たまにはこういうのもいいと思う。


旅行中にいってきたレストランの話  (2010.01.10)

旅行で撮影した写真については目下選んでいるところ。紙でのプリントは590枚になってしまったので、更に選んで150枚程度に収めるべく検討中。

というわけで、まずは行ってきたレストランの話です。

1. Rutz(ミシュラン1つ星、ベルリン)http://www.weinbar-rutz.de/
1階はワインバー、2階がレストランのお店。夕食をとりました。ベルリンのこの種のレストランは皿数に応じて値段が決まるという方式が多いらしいのですが、ここも同様。お店の人は8皿コースを薦めてきましたが、さすがにそんなに食えないので6皿コースにて注文。更に料理に応じておすすめの白ワインをグラスで供するというオプションを選択。

「ドイツ料理」といえばジャガイモとソーセージとザワークラウト+ビール(せいぜいそれにアイスバイン)……という想像をする方は少なくないと思いますが、実際ドイツ料理はバリエーションに乏しいのは事実で、そのためかベルリンの有名店のメニューを見ると山葵や醤油を使うなど和食の影響が強く見られる料理を提供している店が少なくありません。ここのレストランもそれに違わず、皿は四角いしメニューに山葵だの和牛だの日本語が沢山出てくる料理がかなり目立ちました。
料理の味自体は、研究熱心さを感じるもので非常に評価に値すると思います。お任せコースはメニューから逸脱したシェフの創案も見られたのでサイトに掲載の料理とは必ずしも一致しませんが、「さくさくのミューリッツ湖産川梭子魚とパーチ、ベルリン風黒プリンにすりつぶしたキュウリ、マッシュポテトとザワークラウトを添えて」や、「柔らか和牛、イエルサレムのアーティチョーク、黒ラッパ茸にトリュフのソースを添えて」は絶品でありました。また、ソムリエールが薦めてきたワインはいずれもリースリングながらドイツ・カリフォルニア・オーストラリア・チリと世界各地のそれぞれ風合いが異なるものをアレンジするなど、気合い十分。あえてアルザスのリースリングを出さないあたりに矜恃を感じました。
食事を終えてレストランを後にする時、給仕長がわざわざ出てきて、「日本人のお前から見てどうだったか」などと質問をして来るあたりも勉強熱心さが伺え、非常に好感が持てました。
また、後ろの席で他のドイツ人ご一行様が忘年会らしきものをやっていて、ベロベロに酔っていたのもお笑いでした。


2. Bratwursthaeusle(ミシュラン星なし、ニュルンベルク)http://www.die-nuernberger-bratwurst.de/
どの観光ガイドにも出ている超有名店。昼食を頂きました。
ここはRutzとは真逆でガチガチのニュルンベルクソーセージを出すお店。とりあえず全体で10本ほど頼み、あとはアイスバインとワインザワークラウトなどを食べました。
ドイツには一般にケラーと呼ばれる居酒屋風の飲み屋が結構あちこちにありますが、ここもその店の一つで、店の真ん中にある調理台でソーセージをガンガン焼いて出してくれます。
味は率直に言って悪くないと思います。パンもおいしいし、アイスバインもちゃんと余計な脂が落ちているので余り生臭くありません。
ただし、ここの店のやはり最高に褒めるべきはその雰囲気でしょう。滅茶苦茶混んでいるので相席は当たり前。でもそれで隣り合った見知らぬ人と酒を媒介に盛り上がれます。いわゆるドイツの飲み屋ってこんな感じなんだな、と思わせてくれること請け合いです。ただし、この店はカードは使えませんので要注意。某ガイドにはマスターカードが使えるとか書いてありますが。


3. Buerehiesel(ミシュラン2つ星、ストラスブール)http://www.buerehiesel.fr/
まず言います。この店には行くな!
先代の築いた地位に胡座をかくひどい店です。食事のレベルは都内のひらまつ系のフレンチレストランの方が圧倒的に上で、研究熱心さもこの店を凌駕します。

小生が食したのは86ユーロのコース。この値段で文句を言うなとかいわれそうですが……。
まず名物とされるニョッキとカエルの料理「Schniederspaetle et cuisses de grenouille poelees, au cerfeuil」は、ニョッキの味付けとカエルの腿肉のグリル味付けのバランスが崩壊しており、二種類の料理をバラバラに食べているような感覚。このそもそもの失敗はニョッキの味付けが比較的強く、野菜の香りも強いにもかかわらず、カエルのソースのスパイスが殆ど手抜きになっていることにある。つまり肉がメインのはずなのに味覚は野菜に引きずられているのである。店の主を呼べい!

続く「Truffes et Mona Lisa en purée, mulet de roche rôti en écailles de truffe, feuilles de mâche et jus de volaille au Melfor」(山驢馬にトリュフを振りかけ、マーシュの葉に家禽のメルフォール風ソースがけ)はトリュフに依存しすぎな味付けでうんざり。これなら椎茸の香りをつけた方が穏やかで肉の風味を損なわないんじゃないか?
その他の料理もまずくはないものの、絶賛するほどのうまさではない。唯一最後に出た「Lièvre d’Alsace à la royale mousseline de céleri, champignons des bois et coings caramélisés」(アルザスの野兎にセロリのロイヤルムスリンソース、森の茸とマルメロのカラメリゼ添え)だけは野兎の獣っぽさにセロリのソースがいい具合にマッチしていてまあまあ食えたが、正直立地に依存しすぎ(この店の周囲は公園で、夏などに訪れると景色がいいらしい)な気がする。
その他、サービスの質も決していいとは言えなかったので、給仕長を呼んで最後に一通り意見は言わせて貰った。勿論その過程で議論になったのは事実だが、出した金額に見合わないものを出してニヤニヤするような商売には鉄槌を下すべきだと私は思う。
この品質なら星なし〜星1つ未満が妥当な水準だと私は考えるが、いかがか。


4. Relais Louis XIII(ミシュラン2つ星、パリ)http://www.relaislouis13.com/
ブザンソンの友人と昼食をとる。50ユーロのコースメニュー。
まず入り口に掲げてあるシェフ、マニュエル・マルチネス氏のMOF(Meilleur Ouvrier de France)証明書に驚く(ホテルの人に勧められていったので、何にも予備知識がなかった)。
前菜は帆立貝のテリーヌ、メインはジビエのヴァン・ジョーヌソース和え、そしてチーズにデザートだったように記憶しているが、ソースは両方とも統一感のとれた味付けであるにもかかわらず変化を感じさせ、すばらしい。帆立貝はほっといてもおいしい素材なので別に感激するほどではないとしても、特にジビエのソースは扱いの難しいジュラワインをベースに作っているのだが、ジビエの濃厚な味わいを損なわないレベルで、なおかつ肉の臭さをうまく隠す味わい。パンが進む。チーズはモンドールやミモレットなどを適宜選び、ニュイ・サン・ジョルジュにて味わう。
デザートは年末ということもありシャーベットの盛り合わせ。ただしマンゴー味のものややや苦みの強いチョコレート味のものも混じっており、口を飽きさせない。コーヒー時に供されたプチ・フールはマカロンの小さいやつだったが、品のよい甘さに押さえてあり、アーモンドの香ばしさが口に広がる。

お酒も含めて一人70ユーロ程度。昼食とはいえ2つ星レストランでこの値段ははっきり言って安い。おすすめです。


帰ってきました  (2010.01.02)


本日ようやく独仏旅行から帰ってきました。
久しぶりにさわるRealForce106のキータッチのすばらしいこと……
疲れました。


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