2007年11月
放送事故  (2007.11.30)

仕事帰りに同僚と食事をし、帰宅して風呂。

浴槽に浸かって一日の疲れを落としつつ、NHKの「ラジオ深夜便」を何となく聴く。
ゲストが、「祖母がこの曲に包まれて死にたいと言っていた」ということでラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』をリクエスト。いい曲だと思う。PC8801の時代を知る人にとっては、シンキングラビットの「マデリーン」の導入部の美しい語り口を思い出す人も少なくない……少ないか。

で、かけたのはボストンso.&小沢征爾の録音。個人的にはアンドレ・クリュイタンスとパリ管の録音が好きなのだが、失われてしまった廃墟からかすかに覗く静かな秋の青空を思わせるホルンと弦の旋律が……と思いきや、フルートの3拍子が。

あれ、これって『ラ・ヴァルス』ではありませんかい?

しばらく聴いていても訂正は入らず。
ううむ、いいのか?


なんだこれ  (2007.11.27)

今月は飛行機での出張が数回あった。そんなわけで「翼の王国」は読み飽きてしまい、疲労した体で『パサージュ論』を読むのも結構厳しいので、空港の売店にてモータマガジン社のNikon D300 オーナーズBOOKを買って読む。

……なんですかこのスカスカぶりは。唯一役に立ったのはCaptureNXの使い方解説くらいで、本体の記事はマニュアルの内容をさらに薄くしてカラーにしただけのつまらない内容。プロカメラマンの記事もコラム同然で、具体的なレビューからはほど遠い。交換レンズレビューとメモリーカードのテストの記事、ありゃ一体何ですか?素人だってもう少しまともな記事が書けるよ……

はっきり言ってこんなゴミみたいな内容で1600円を取るというのはある種の詐欺に近いように私は思う。本体の月刊カメラマンも記事のレベルがかなりアレな雑誌ではあるが、今日のような暇つぶし目的でもなければこんな本は買うべきではない。


CaptureNX使ってみた  (2007.11.26)

色々苦戦しつつもとりあえずCaptureNXをインストールして使ってみた。
インストール終了後に一度自動起動してやらないとNEFファイル読み込みができないというのは明らかにバグだと思うので、次のバージョンではしっかり修正してくださいニコン殿。

で、肝心の出来だが、確かに日本光学謹製のレタッチソフトだけあり、ノイズ低減やアクティブDライティングの事後反映などできることは非常に多く、露出や絞りを設定し損なった写真でもかなりの割合で救済できる。

ただし、動作がその分非常に重い。私のマシンはCPUがAthlon64(シングルコア)4000+、メインメモリは2GB積んでおり、日常用の普通の使用に関しては重さを感じることは滅多にない。せいぜいフルHDの動画を鑑賞するときにコマ落ちの恐怖に震える程度なのだが、ノイズ低減やカラーブースター等比較的キツい処理を行うと、一気にCPU使用率が100%になって10秒近く待たされる。これには私のマシンがフォントの積み過ぎ(約10,000種類)とかノートン先生を常駐させているからとか作業中はOggVorbisで圧縮した音楽を聴いているからとかもあるのだろうが、余りにも凄まじい重さに本気でPhenom+メモリ4GBマシンの導入を考えたほどだ。勿論先立つものが全然ないし、Phenomはプロセスルール45nm版の登場を待つ予定なのであくまで一瞬考えただけだが、実際色々レタッチするとその位重いということだ。通常のワークフローであればPhotoshopCS3の方が遙かに軽いので、それで済ませられるような写真を撮るように努力しなければならない。

そんなわけで今日の一枚。散歩がてら撮ってみた。

ポンプで一枚。


D300が届いた  (2007.11.25)


11/23に無事D300が届いた。
11/22の朝7時半のタイムスタンプにてヨドバシ.comからの出荷のお知らせは受け取っていたのだが、配達希望時刻を伝えていなかったため結局ブツを受領したのは夕刻。

作例は下にリンクを設けておくのでそちらで見ていただくとして、やはりファインダーが広々していて実に気持ちいい。視野率100%、倍率95%は伊達ではないです。今まで使っていたD70は視野率こそ95%でまあまあなものの、肝心の倍率が75%とかなり悲惨なため、マニュアルフォーカスでの操作は実質不可能だった。しかし今度のD300はファインダーを覗くとそこは別世界。これでコシナツァイスのZFレンズがようやくまともに使える……持ってないけど。

まだ実質2日間程度の使用経験なのだが、色々と厳しい条件(逆光とか夜景とか)で撮ってみて分かったのは、アクティブDライティング機能が非常に優れているということだ。通常なら白飛びに引きずられて作画が破綻してしまうようなシチュエーションでも、かなりギリギリのところまで粘ってくれる。どうせトーンカーブを部分修正する程度の機能だろうとタカをくくっていたらあらびっくり。機能のオンオフで撮り比べると、人間の目がいかに高性能なのかを痛感することにもなる。

高感度ノイズはISO400程度までしか感度を引き上げていないのでノイズの状態はよく分からないが、少なくともD70の上限400程度に比べればかなり使えるレベルになっていると思う。普通に使う分にはISO800位までは余裕で耐えられるのではないか。ISO800以上は使ったことないけど。

で、D300様の到着に備えてPhotoshop CS3とかExtreme IV 4GBとかを買いそろえておいたのだが、RAW+JPEG(BASIC)で撮ると4GBでたったの200枚くらいしか撮れないらしい(旅行に行くと左大臣は一日当たり平均250枚は撮る)。D70の時はRAW+JPEG(BASIC)でも600枚近く撮れたと記憶しているので、RAWの圧縮メソッドが変わったとは言え、やはり1230万画素は要求が高いよと途方に暮れるのだった。仕方がないので今度安い4GBのを予備としてどっかから調達しようと思う。

そんなわけで何枚か作例を上げておくことにする。何枚かはコダクロームみたいな色合いに現像してみた。12ビットRAWからの現像ではあるのだが、グラデーションが壊れていないところが良い。ちなみに、使用レンズは全てAF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18〜200mm F3.5〜5.6G(IF)。さすがにこの画素数クラスになると広角端の描写の甘さがF6.3まで絞っても少し目立つ。ううむ、14-24mmF2.8欲しい。

写真その1
写真その2
写真その3
写真その4
写真その5
写真その6
写真その7(流し撮り)
オリジナルサイズ3枚詰め合わせ(18.2MB)


またキムタクかよ(;´Д`)  (2007.11.20)

D3とD300の実機に触れるということで、会社の帰りに銀座のニコンプラザに行ってきた。ついでに愛機D70のローパスフィルターの清掃を依頼。

クリーニングして貰っている間、階下の陳列コーナーにてD3とD300をいじる。いやー、惚れ惚れするほど官能的なシャッター音ですよハイ。パコーン!とかいいやがるどっかの機種とは全然違う。特にD3で連写するときのシャッター音は脳幹を破壊するほどのセイレーンの歌声。D300の視野率100%のファインダーは実に快適な視認性。

カメラ受け取り後、偶然空きがあったので、無理にお願いして小山伸也氏が講師を務めるD300スペシャルカレッジに参加させてもらった(本来は事前登録が必要)。Digital Live2007でも配布していた(らしい)切手を入手した。講座では3Dトラッキングなどの仕組みやライブビューの効果的な使い方などを学ぶことができた。

で、パンフを貰ってきたのだが、今回も表紙はキムタク。中はバレリーナとかバイクとかレンズの素性がモロに出るような作例てんこ盛りで、さすがにサンニッパは写りがいいなあとヨダレを垂らした次第なのだけれど、んー、D3桁クラスの機種の表紙にキムタクをあしらうのは釈然としないなあ……


The Rake's progress作戦:臨時通信  (2007.11.12)

知り合いに仕事用にということでデジカメを貸したら解像度等の設定を変えられたまま戻ってきた。おかげで掲載写真は縮小しても手ブレの残骸。DiMAGE X1はジオングのような中途半端な完成度のデジカメなので、使いこなすには色々と設定を予め追い込んでやらないといけないのに、こういじられると困ったりする。事前に注意しておかない私が悪いと言えば悪いのですが。


閑話休題。
土曜日はいつものようにフランス語の講座だったわけですが、昼食をとりながらの雑談時にイタリア語の会話能力について色々とテスト三昧。曰く、テキストを見ていたら大昔に学んだことをあらかた思い出したそうで、piacere動詞等についての反復訓練をやらされました。フランス語の講座なのに……。冷汗三斗。
その晩来たメールにも「今度はもっと鍛えてやるからしっかり勉強しとけよ」との文言が。(;´Д`)……
この訓練は多分旅行の後も続きそうな気配なので、つまりは孟母断機ってことですか……。


階級の問題  (2007.11.05)


昼休みに近所のカフェにて休憩。イタリア語参考書の練習問題をこなす。

どうもこのカフェ、秋葉原に観光出撃するイタリア人やフランス人の足溜まりになっているようで、今日もフランスからの観光客の一団を見かけた。途切れ途切れに聞こえてくる話では日本のイタリア料理屋で食べたピザの味についてなどを議論していたようだ。
ただし、彼らのフランス語には非常に強い独特のアクセントがあった。衛星放送のニュース等で耳にする典型的なそれとは大きく異なり、鼻母音をやたらに強く発音したり、[k]の音を喉を極端にすぼめることで一気にまくし立てるそれは、明らかに労働者階級(≠ホワイトカラー)のものであった。日本語で言うところのいわゆるべらんめえ調を想像して貰えれば近いと思う。そういった人々でも日本に来られるのだからユーロ高とは恐ろしいものだ。

そこで、である。一昨年くらいからやたらに秋葉原を持ち上げる軽佻浮薄の極みの如き宣伝文句には、アニメや漫画が日本を代表するコンテンツ産業になっていると吹聴するものが少なくない。だが、欧州における日本産アニメの有力な消費地の一つであるフランス(もう一つはイタリアである)においては、それらを消費しているのがどのような階級の人間であるのかが、恐らく意図的に看過されている。
残念なことでもあるし、ある意味では必要なことでもあるのだが、かの地域では階級によって嗜好する文化対象が全く異なる。昔読んだある本では「パリ近郊のZEP(優先教育振興地域:貧困層が多く、教育予算等を優先的に割り当てられている地域)の子供たちをルーヴルに連れて行くのはパリに日本人観光客を呼ぶよりもはるかに難しい」という表現があったが、それは恐らく事実だ。
そして、現状では「日本発」のそれらのコンテンツの受容は、ZEPとは行かないまでも、決して知的に洗練されているとは言えない階級に受け入れられているといってもいいのではないだろうかという疑義を、私は常に感じる。
例えば、ガチガチのエリートでもあるフランス社会党党首のセゴレーヌ・ロワイヤルは日本のアニメや漫画について極めて一面的で表層的な低水準の批判を繰り返していることで知られているが、残念ながらなんぼその国際性を褒めそやしたところで日本のアニメは「セゴ」の文化的頑迷を打破する戦略を有していないのは否定できない事実であるのだ。

もし、広告屋連中の「今や日本を代表する」という気楽な持ち上げ方に安住することを良しとせず、それを日本語という言語も含めての文化的外交戦略の文脈においてその発展を期そうとするのであれば、このような階級の問題にも同時に自覚的であることが求められるわけで、必然単なるサブカルチャーであることに安住することは、もういい加減やめにした方がいいだろう。


The Rake's progress作戦:中間報告  (2007.11.04)

旅行計画の中間報告です。

飛行機とホテルの確保は無事確認。鉄道切符は現地の駅で購入予定なので、当座必要な手段については確保完了。やれやれ。現在は観光予定のパズル的組み立てと観光予定都市の街路及び交通路線図について脳味噌に叩き込む作業をしております。街中で地図広げていると100%スリに狙われるからね……

で、イタリア語。苦戦しつつも少しずつ習得しております。旅行時にはとりあえずの会話くらいはできるように気合いを入れて追い込みをしなければいけないのですが、こういうときに限ってプレゼンラッシュで体力をエラい消耗するわけです。技術屋さん前に話をすると細かい点でのツッコミが厳しいから、2〜3時間のプレゼンでも泣きそうなくらい疲れるですよ。仕事あっての道楽なので、愚痴っても仕方ないのですが。

そんなわけでD70+VR18-200で撮った書斎の部分写真です。発表時に予約しておいたD300の発売日が23日に決まり、オマケでCapture NXが貰えるとのことで、テンションはとりあえず高め方向でシフトしております。


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